現在の一般の介護職員の主な業務は、「食事」「入浴」「排泄」「機能訓練」「レクリエーション」等となっています。介護保険法では、自立支援が介護報酬の加算にも導入されましたがまだまだ、「自立支援」イコール「リハビリをがんばるしかない」と思っている方が多いのではないでしょうか。
しかし、実際は少々の医療的側面の感覚を持ち、観察をしながら、適切な介護を提供することで、高齢者の要介護度の改善を図ることが可能なのです。
更には、 高齢者の症状の変化を適切に医療従事者へ伝えることで、症状改善のための「医療との連携」を進める架け橋機能を持つこともできるのです。
上記の知識を持った介護士を新たに「改善介護士」(1級、2級)として定義し、社会への普及を図ることが、急務であると考えております。さらには、この「改善介護士」を育成するために認定講師を、日本全国の介護施設(全国約70000施設)に1名以上配置することを目指します。
【改善力】介護の力で高齢者のQOL等を改善できる人材
【観察力】症状の変化に早期に気づくことのできる人材
【対処力】介護の力で症状の悪化をミニマイズ(最小化)することのできる人材
【連携力】医療との連携の懸け橋となることができる人材
【目的】要介護者を援助しつつ、要介護者のQOL・ADL・QODレベルを改善する。
【知識】介護と疾病に関する豊富な知識
【能力】介護能力+「改善力」「観察力」「対処力」「連携力」
【資格要件】ヘルパー又は介護福祉士としての3年以上の実務経験
【目的】要介護者を援助してADLレベルを維持する。
【知識】介護に関する知識
【能力】介護能力
【資格要件】介護初任者研修は無し 介護福祉士は一定の実務経験等有り
看護の母であるナイチンゲールは、18世紀にイギリスで看護を職業として確立した偉人です。ナイチンゲールによると、日常生活を整えることで、病人の回復を助けることができます。心と身体の毒になるものを避け、心と身体が衰えてしまうことを予防することが健康になるために最も必要なことだとナイチンゲールは述べています。
「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさを適切に保ち、食事を適切に選択し管理すること。。。中略
こういったことのすべてを患者の生命力の消耗を最小にするように整えることを意味するべきである。」
日本高齢者改善介護協議会では、このナイチンゲールの教えを改善介護士が実践することで、要介護の高齢者のQOL、ADL、QODレベルアップに貢献することができると考えております。
介護と看護を英語に訳すといずれも「Nursing」であることがわかります。実は諸外国には介護という概念はないのです。日本でいう高齢者介護の仕事は本来、看護師の仕事だからです。
日本では、医療費の削減のために高齢者介護を医療保険から除外して介護保険という新しい制度をつくりました。
日本の社会保障費をできる限り削減するためには報酬の高い医師や看護師に高齢者介護を任せていては介護報酬を少なくすることができません。そこで考えだされたのが、介護の専門職をつくり、高齢者介護を看護師ではなく「介護の専門家」に任せようという政策でした。
それが介護保険です。
もちろん、介護保険は要介護者である利用者の尊厳を大切にして選択する権利を与え、介護サービスを選べるように自己決定権を重要視しています。でもその裏には、社会保障費を削減するという密かな目的があったことも忘れないでください。
と考えると介護の専門家は、法律でやってはいけないと定められている、例えば、採血や注射などの”診療の補助”を実施することはできませんが(厳密には規制緩和がなされ、多くの診療の補助ができるように変化しています)
看護師の業務である”療養上の世話”を実践することが可能なのです。ただし、この療養上の世話の多くは在宅や介護施設において実践されます。
つまり、病院に入院するほどではないが病気や障害をもった病気と共に共存している要介護者に対して自宅や介護施設で療養しながら少しでも自立した生活が送れるようになりたいと願う要介護者に対して、ナイチンゲールが19世紀に述べている生活を整えることが最も重要な介護なのではないのでしょうか?!
ナイチンゲールが日常生活を整えるということでクリミア戦争で戦死する兵士の数を減少することができたように、私たち改善介護士もリハビリに頼るだけでなく日常生活を整える知識を持つことで要介護者の改善に向かって実践を積み重ねていこうではありませんか。